工場現場をIoT化することによる、技術者の業務効率化を考えました。

 

IoTにより工場で働く技術者がどれだけ業務改善できるかを考えました。

 

ある工場で働くAさんがいたとします。

 

Aさんの仕事は工作機械が並ぶ工場の技術者とします。

 

工場にて実際に作業をするのはAさんとは違う工場作業者が行います。 この作業者が行う作業としては、加工前の金属を工作機械にセットして、条件を設定後に開始スタートをして機械による工作加工を開始させます。 その後、工作加工が終了したら、加工品を機械から取り出して、次の仕上げ工程に持っていきます。

 

この工作機械は工場内に多数並んでおり、多種多様の加工ができる工場となっています。

 

Aさんはこの工作加工をする機械の管理をしています。

 

Aさんの本来行いたいことは、担当の工作機械による加工の歩留り向上やコスト削減、予防保全計画立案などの改善業務ですが、トラブル業務に関わる仕事が多いとその改善業務に時間を割けません。

 

IoT化にすることにより、改善業務に割ける時間を多くすることが可能となります。

 

それでは、IoT化することにより、効率化できる作業を下記に3つ示します。

 

 

①装置データをオンライン化することにより、事務所に居ながらトラブル対処が可能となる。

 

  上記の記事でも機械のデータをオンライン化する方法を説明していますが、機械のデータをオンライン化することにより事務所にいながら機械の詳細のデータを見ることができます。機械のデータには処理のデータの他、アラーム情報も含まれるため、それらのデータを見て、継続稼働が可能な場合もあります。また、現場の作業者へ一部のパーツを交換を指示して継続使用が可能となる場合もあります。

 

また、オンラインで機械データをサーバーに保存し続けることにより、データが数多く蓄積され、そのデータを元に適切なパーツの交換頻度を設定でき、さらにトラブルが発生しにくくなります。

 

 

②スマートグラスや、トラブル対処システム化により、作業者から呼ばれる機会が削減される。

 

また、スマートグラスを製造現場に置くことによっても事務所にいながらリモートでどこでもトラブルの状態を見ることできるようになります。 スマートグラスとは、製造現場の作業者につけると、そのスマートグラスについているカメラから、作業者が見ている映像データを遠隔で確認することができます

 

このスマートグラスでは、遠隔で見ている技術者がポインターで現場の作業者のレンズの方に指し示すことができます。 また、同時に電話もできるため、現場作業者と技術者間で、映像+ポインタと音声でトラブルの状態を共有することができます。 この時に、継続して稼働して良いトラブル内容、アラームであれば、そのまま機械を使用することになります。

 

また、トラブル対処のシステム化も挙げられます。

 

これは各機械のアラーム発生時の対処方法をアウトプットしてくれるシステムです。これにより、製造現場の作業者だけで解決ができるようになるトラブルも増えて、技術者が工場に入らなくてもアラームによっては工場作業者だけで対処ができるようになります。

 

このシステムは、技術者があらかじめ機械アラーム毎に対処方法を紐付けして、それをサーバーに保存する必要があります。

 

システムとしては、技術者が保存したトラブル対処方法のデータベースから、ソフトによって作業者がキーワードだけ打って検索したら、それに対応する対処方法をデータベースから取り出してくれるシステムが挙げられます。

 

 

③工場に持ち運び可能なWiFiに繋がったタブレット端末があることにより、トラブル対処の際の時間を少なくすることができる。

 

3つ目に、ネットワークに繋がった持ち運び可能なタブレットPCを工場に設置することにより、トラブルの対処がスムーズに行きます。

 

その会社に社内ネットワークが繋がっており、サーバーに機械の取扱説明書や、対応方法を示した文書を保存していたとして、ネットワーク環境があればタブレットPCからそれらの情報をどこでも見ることができます。 PCであれば有線であり難しいですが、タブレットPCであれば無線で工場のどこでも持ち運び可能なことから、そのような端末があれば、機械のそばに持っていくことにより、余計な移動をすることなく機械のトラブル対処ができるようになります。

 

 

製造現場のIoTによって実現できることと課題

 

製造現場からのトラブル対処の要請があれば、これまでであれば、技術者は現場に行ってから判断や対処をすることが多かったと思います。IoTによってこれらのことを実現することによって、1日8時間、1週間で40時間業務している中で、製造現場からの呼び出しや、トラブル対処が20時間あったとして、これの1/4でも削減できれば、1週間のうち5時間を改善業務に回せることになります。

 

1ヶ月であれば20時間、年間であれば240時間の時間となります。

 

この時間を改善業務に回すことにより、さらに機械のトラブル発生率を低減したり、加工品の歩留り向上を実現することができ、良いサイクルで業務を回していくことができます。

 

この実現を目指す時にネックとなるところが、ネットワーク回線が工場に入らない時です。この場合は、社内WiFiなども検討する必要があります。

 

また、トラブル対処のシステム化については、技術者が各機械毎の想定トラブル、その対処方法を電子データとしてまとめる必要があります。 加えて、そのデータベースを作業者が検索してアウトプットするシステム開発も必要です。

 

IoT化にはつきものですが、泥臭い、時間がかかる対応もありますが、その先にさらに他社より強い工場となりますので、この点も是非とも実現していきたい案件です。

 

以上で終わりとさせていただきます。

 

今回もここまで見ていただきありがとうございました。

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